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遺伝子組換え食品の表示制度について
Q7-1

遺伝子組換え食品の「表示制度」とは?

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A7-1

 遺伝子組換え農作物を原料として使った食品には、たくさんの種類があります。輸入が始まった1996年以降、どんな食品に使われているのか、表示を義務付けてほしいという声が、たくさんの消費者から寄せられるようになりました。
 これを受けて農林水産省は、消費者の選択の目安となるよう、2001年4月からJAS法に基づく遺伝子組換え食品表示制度を実施し、指定された遺伝子組換え農作物と、その加工食品について、遺伝子組換えに関する表示を義務づけています。
 2003年1月現在、表示の対象となるのは、5種類の農作物と30食品群の加工食品です。
 表示の方法は、
1)遺伝子組換え農産物を使っている場合は「遺伝子組換え」
2)遺伝子組換え農産物と遺伝子組換えでない農産物を分けずに使っている場合は「遺伝子組換え不分別」 と表示することが義務付けられています。
 原材料にダイズ(大豆)が使われている加工食品を例にとると、原材料名の欄に1)の場合は「大豆(遺伝子組換え)」、2)の場合「大豆(遺伝子組換え不分別)」と表示されています。不分別の場合は、遺伝子組換え農作物が入っているかもしれない、ということです。
 遺伝子組換え農産物が混ざらないように分別している場合は、表示義務はありませんが、任意で「大豆(遺伝子組換えでない)」などと表示することができます。ですから何も表示されていないものと、「組換えでない」と表示されているものは、実質的に同じと見ることができます。
 厚生労働省でも、遺伝子組換え食品の表示の義務化について、2001年4月から食品衛生法に盛り込んでいます。

消費者への情報開示

消費者への情報開示

Q7-2

豆腐としょうゆでは表示に違いがありますか?

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A7-2

 遺伝子組換えに関する表示対象となる30食品群の加工食品の中には、ダイズ加工食品である豆腐や納豆は入っていますが、醤油やダイズ油は入っていません。つまり醤油には表示の義務はありません。遺伝子組換えダイズを使って作った醤油や油でも、遺伝子組換え農産物で作りました、という表示をしなくてもよいことになっています。
 この表示義務の有無は、加工品検査において、食品の中に組み換えられた遺伝子またはこれによって生じたタンパク質が検出できるかどうかによって決まります。豆腐や納豆は加工されているとはいえ、遺伝子やこれによって生じたタンパク質が残っているので、科学的分析検査を行って遺伝子組換え原料が使用されているかどうかを確認することができます。そのため表示義務があるのです。
 醤油や油は加工の工程で、熱を加えたり発酵させたりすることで、組み込まれた遺伝子やこれによって生じたタンパク質が分解、除去されてしまいます。このため検査しても、遺伝子組換え農産物が使われているかどうかがわからないのです。つまり組み換えられたDNAが存在せず、科学的に確認できないという理由で、表示が義務づけられていないのです。

遺伝子組換え食品の検査方法

遺伝子組換え食品の検査方法

Q7-3

「遺伝子組換え不分別」とはどのような意味ですか?

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A7-3

 「不分別」というのは、遺伝子組換え農産物と非遺伝子組換えのものを、流通過程で「分けていない」という意味で、混じっている「かも」しれないということです。混ざったまま流通している場合を「不分別」といい、その場合には表示が義務づけられています。

消費者への情報開示

消費者への情報開示

Q7-4

IPハンドリングとは何ですか?

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A7-4

 遺伝子組換え食品の表示制度では、原材料として遺伝子組換え農作物を使用していない場合は「遺伝子組換え不使用」の表示をしてもよいことになっています。この場合、本当に原材料に組換えのものが混ざっていないという証明が必要になります。その証明を可能にするのがIPハンドリング(分別生産流通管理)です。
 遺伝子組換えトウモロコシやダイズは、専用の農薬を使うなどの理由で遺伝子組換えではないものとは、別の畑で育てるのが一般的です。このため、収穫の直後であれば、遺伝子組換え農産物と、そうでないものを分けることは容易に行えます。
 しかし、1カ所に集め、トラックや船に積み、遠くまで運ぶという長い流通の過程でも、それらをきちんと分けておくためにはコストがかかります。また現在流通している遺伝子組換え農作物は、構成成分や栄養価が従来の農作物と実質的には同じです。結果、多くの場合はわざわざ分別せずに、従来品種といっしょに運ばれています。
 このような状況の中、遺伝子組換えでない農産物を求める消費者の声を受けて、農場から製造工場に原料が到着するまでのすべての流通過程で、厳密な管理を行い、分別して運ぶシステムがあります。これをIPハンドリング(分別生産流通管理)といい、分別管理したことを証明する書類の発行も行われています。  IPハンドリングの証明書は、農作物が生産者から流通業者、輸出入業者、加工業者へと渡る各ポイントで発行されます。最終的にすべての書類がそろって初めて適切なIPハンドリングが実施されたことになり、その証明書をもとに加工業者は「遺伝子組換えでない」と表示することができるのです(表示するかしないかは自由です)。
 栽培農家や流通にかかわる人は、厳密な管理の下で細心の注意を払ってIPハンドリングを行っていますが、現実には遺伝子組換えのものがわずかに混ざってしまうこともあります。種子を運ぶコンベアーなどは、ある時は遺伝子組換え農作物を流し、ある時は非遺伝子組換えのものを流すことが多くあります。非遺伝子組換えのものを流すときは、コンベアーや倉庫内を掃除してから作業を行いますが、いくら清掃してもラインに数粒、遺伝子組換えのものが残っていたりすることもあり、現状では絶対に混ざらないようにすることは困難です。
 このため日本では、遺伝子組換え農作物の混入率5%未満なら、適正なIPハンドリングが行われたとして認めています。

IPハンドリング

IPハンドリング

Q7-5

表示違反がないかどうか、確認しているのですか?

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A7-5

 店頭で売られている表示対象品目の製品は、今のところ「遺伝子組換え農作物は使っていません」と表示されているものがほとんどです。これらの表示が正しいかどうか、農林水産省や地方自治体などでは、定期的にモニタリング検査を行っています。
 農林水産省の独立行政法人である農林水産消費技術センターでは、全国8カ所で市場に流通している製品を監視しています。平成13年度には、遺伝子組換え原料を使っていないとして販売していた加工食品305商品について、DNA分析を行って表示内容の確認調査を行いました。
 その結果、304商品の表示は適正でしたが、1商品で表示違反があり、商品の製造業者などに対して、同センターは表示の訂正や、適切なIPハンドリングを実施するように指導しました。その後も地方自治体や消費者団体などによる、店頭調査や科学的確認検査などが行われていますが、表示違反となって罰則を受けた例はありません。

遺伝子組換え食品の検査方法

遺伝子組換え食品の検査方法

Q7-6

海外では、どのような表示を行っているのですか?

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A7-6

 表示のルールは国によってさまざまで、表示実態も異なります。米国では、遺伝子組換えについて表示の義務付けは一切ありません。一方、EUでは、遺伝子組換え技術に対しては慎重な立場をとっており、1997年に新食品規則を施行して、遺伝子組換え食品の表示を行うことを決めました。しかしルールは年々、厳格になるものの、拘束力はなく、実際には遺伝子組換えに関する表示を見かけるという状況にはないようです。
 国際的にも検討が行われていて、国際連合食糧農業機関(FAO)および世界保健機関(WHO)が合同で設けているコーデックス食品規格委員会(CODEX)において、遺伝子組換え食品の表示指針(ガイドライン)の作成が進められています。
 しかし、表示の義務付けは基本的には必要ないとする国と、そうでない国の意見がまとまらず、統一したガイドライン作成は長期化する可能性も出てきています。

日米欧における食品表示の違い

日米欧における食品表示の違い

遺伝子組換え植物の応用・今後の開発
Q8-1

高生産性の遺伝子組換え植物とはどのようなものですか?

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A8-1

 20世紀の100年間で世界の人口は4倍に増え、2002年には62億人に達しました。国連によると2050年には95億人に達すると推定されています。今後、人口増加に見合う食糧をいかに確保するかが重要な問題となってきています。
 一方、都市化に加えて、地球温暖化や森林の減少などの影響により、砂漠化や海面の上昇、干ばつなど、地球環境の悪化や天候不順が重なり、耕地面積は年々減少してきています。
 現在でも、世界で8億人以上の人々が栄養不足や飢餓状態にあると言われており、食糧問題は今後、ますます深刻化すると予測されます。こうした食糧問題を解決するキーテクノロジーとして、遺伝子組換え技術の応用が考えられています。
 遺伝子組換え技術を使えば、作物の生産性を今以上に高めたり、害虫や雑草の被害を少なくしたりすることが従来より容易に行え、結果、単位面積あたりの収穫量を増大させることができると期待されています。乾燥に強い植物や塩分濃度の高い土地などでも育つ植物を開発できれば、これまで農業には適さなかった土地でも農作物を栽培することが可能になります。
 遺伝子組換え技術による栄養成分の改良によって、同じ作物でも栄養価を上げてカロリーを増やしたものを開発することも期待されています。同じダイズでも、カロリーが高い飼料が栽培できれば、一定の耕地面積において今より多くの家畜が養えます。

Q8-2

環境問題に貢献する遺伝子組換え植物とはどのようなものですか?

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A8-2

 遺伝子組換え植物を用いた、環境問題解決の研究が進められています。
 カドミウムは、人の健康に害を与える恐れのある重金属で、農用地の土壌汚染の原因のひとつです。アブラナ科の植物は、もともと根からカドミウムを吸収する能力が高く、土壌汚染の解消に役立つのですが、遺伝子組換え技術により、さらにカドミウムの吸収力を高められるのではないかと期待されています。
 そうすれば、汚染された土地でカラシナなどを栽培するだけで、土壌中のカドミウムを取り除くことができるかもしれません。この方法なら、広範囲に広がった汚染を比較的安価に処理することが可能です。この場合は、汚染物質を環境中から除去するわけですが、汚染物質そのものを分解して環境を浄化する植物の開発もあります。
 今まで農業ができなかった乾燥した地域、アルカリ土壌、塩分濃度が高い土地でも生育できる植物が開発されれば、環境の緑化にもつながります。
 そのほか廃棄された後に、土や水の中で自然に分解する生分解性プラスチックを、サツマイモなどから生産する試みも進められています。

環境浄化への期待

環境浄化への期待

Q8-3

健康に役に立つ遺伝子組換え植物とはどのようなものですか?

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A8-3

 遺伝子組換え技術によって、私たちの健康によりよい農作物の開発が進められています。
 オレイン酸には、血中の善玉コレステロールはそのままで悪玉コレステロールだけを下げる効果があることが報告されています。オリーブオイルはオレイン酸を多く含んだ油として知られていますが、さらに多くのオレイン酸を含むダイズが開発されています。
 カロテンは、体内でビタミンAとなるため、開発途上国で深刻な問題となっている、ビタミンA不足の解消に有効であると考えられています。現在、カロテンを含むコメの開発が進められています。このコメは黄金色をしていることから「ゴールデンライス」と呼ばれています。
 東南アジアやアフリカなどの開発途上国では、年間約50万人の子供がビタミンA欠乏に起因した眼球乾燥症で失明にいたっている(1987)という報告があります。主食であるコメからカロテンを摂取できることから、ゴールデンライスはビタミンA不足を解消する手段として期待されています。  農作物の栄養価をより高めるだけでなく、成分を低下させる研究もあります。ダイズやコメにもともと含まれているアレルギー成分を少なくして、アレルギーのある人でも安心して食べられる農作物の開発も進められています。

開発が進む新しい農作物

開発が進む新しい農作物

Q8-4

医療用の遺伝子組換え植物とはどのようなものですか?

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A8-4

 医療分野では、遺伝子組換え技術を用いて、植物に医薬成分や原料を製造させる研究が進んでいます。ワクチン成分を食用の植物に作らせて、食べるだけで効力を発揮する「食べるワクチン」の研究がなされています。「食べるワクチン」ならば、ワクチン成分を精製する手間と費用が削減でき、ワクチン保存のための冷蔵設備も必要ありません。ヒトや家畜の感染症も、食べるだけで予防することができるわけで、開発が期待されています。
 アレルギー疾患の治療に有効な食べるワクチンの研究も進められています。遺伝子組換えによってスギ花粉症のワクチンが導入されたコメが作れれば、コメを食べるだけで徐々に免疫がつけられ、アレルギーを軽減することができると考えられています。
 しかし消費者の中には、毎日口にするコメに遺伝子組換え技術を応用することに、強い拒否反応を示す人もいます。遺伝子組換えの研究開発が進むにつれて、議論が高まることが予想されます。

開発が進む新しい農作物

開発が進む新しい農作物