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環境への安全性について
Q6-1

遺伝子組換え農作物の環境に対する影響は、どのように審査されているのですか?

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A6-1

 遺伝子組換え農作物の研究・開発は、空気や水の出入りさえも管理された、閉鎖系の実験室内で安全性を確認しながら始められます。  最初は閉じた空間の中で開発された遺伝子組換え農作物を、広く一般環境の中で栽培したり、産業利用に活用するためには、開かれた環境にどのような影響があるのか確認が必要で、そのための制度が設けられています。  確認は、農林水産省によって定められた指針に基づいて実施され、フェンスなどで外界と仕切られた隔離ほ場において試験的な栽培が行われます。ここで、ほかの生物や、周囲の環境にどのような影響を及ぼすか(もしくは及ぼさないかを)、主に以下を中心に調べます。 ・生育の仕方、特性は、従来の農作物と変化がないか ・花粉が飛んで近縁種の植物と交配した結果、遺伝子を受け取った植物が環境へ悪影響を及ぼさないか ・雑草化しないか ・ほかの生物の生育に及ぼす影響はないか ・有毒物質の生産性や土壌微生物相への影響はないか  これらの試験結果から、遺伝子組換え農作物の環境に与える影響を、従来の農作物と比較します。その結果が農林水産省に提出され、審査の結果、環境に対する安全性が確認されたものが、一般の圃場でも栽培したり、輸入できるようになるのです。

環境への影響

環境への影響

Q6-2

害虫抵抗性において、目的以外の昆虫を殺すことはありませんか?

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A6-2

 害虫抵抗性の遺伝子組換え農作物には、害虫の防除に効果を発揮する Btタンパク質を作る遺伝子が組み込まれています。そのため、害虫抵抗性農作物を栽培することによって、目的とする害虫以外の昆虫の生態に影響を与えないか、事前に確認が行われています。  アワノメイガという鱗翅目(りんしもく)の害虫防除を目的に開発された遺伝子組換えトウモロコシには、鱗翅目の昆虫の全般に対して作用する Btタンパク質が含まれています。このトウモロコシを食べたアワノメイガは、Btタンパク質によって消化管が破壊され、餓死してしまうのです。  しかし、この Btタンパク質は目的とするアワノメイガ以外に、鱗翅目に属するチョウやガに対しても、同様な効果を発揮します。そこで、花粉中に含まれる Btタンパクの量や花粉が飛ぶ時期などを調べ、ほかの昆虫への影響を確認します。絶滅危惧種のチョウなどの生態系への影響も事前に調べられます。これらのチョウの生息地域は湿地帯が多く、トウモロコシの栽培に適した土地とは異なることや、トウモロコシの栽培時期と、幼虫の生育時期が重ならないことなどから、特に影響はないと考えられています。

Btタンパク質について  土壌中に生息するBt菌(バチルス・チューリンゲンシス Bacillus thuringiensis)という微生物には、害虫防除の効果があることが以前から知られていました。Bt菌の産生するBtタンパク質には、昆虫の消化管を破壊する作用があり、Btタンパク質を食べた害虫は餓死してしまうからです。  鱗翅目(りんしもく、チョウやガなど)に効果があるものや、鞘翅目(しょうしもく、甲虫類)に効果があるものなど、様々なBt菌が発見されていて、それぞれ特定の種類の昆虫を防除できます。加えてBtタンパク質は、ヒト、ウシ、ブタなどの哺乳類や、鳥類などの生物には影響を及ぼさないことから、微生物農薬として使用されてきました。  そこでBtタンパク質を産生させる遺伝子を農作物に導入したものが、害虫抵抗性の遺伝子組換え農作物です。植物体内でBtタンパク質が産生されるため、害虫による被害を抑えることができます。  現在、アワノメイガ(鱗翅目)の防除効果があるトウモロコシや、コロラドハムシ(鞘翅目)の被害を受けないジャガイモなどが開発されています。

害虫抵抗性 トウモロコシ

害虫抵抗性 トウモロコシ

Q6-3

害虫抵抗性農作物を栽培し続けると、もっと抵抗力の強い虫が登場しませんか?

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A6-3

 農業現場では、一般に殺虫剤を使って害虫の駆除を行います。しかししばらくすると、その殺虫剤に対して抵抗性を持った害虫が出現してくることがあります。抵抗性害虫が広がってしまうと、今までの殺虫剤では駆除しきれなくなり、最終的には新しい殺虫剤が必要になってしまいます。同様の現象は、遺伝子組換えによって作られた害虫抵抗性農作物の大規模栽培においても引き起こされる可能性があります。  このため米国においては、害虫に強い農作物を栽培する際に、耐性昆虫の発生を遅らせる管理の実施が義務づけられています。  具体的には、Btトウモロコシを栽培している場合、その畑の近くに保護区(refuge)を設け、決まった面積の非Btトウモロコシを植えるよう求めています。これはBt耐性昆虫が出現しても、保護区で生育している非耐性(Bt感受性)昆虫と交配させることにより、耐性昆虫の出現頻度を低下させる方法です。  加えて、耐性害虫の出現を定期的にモニタリングして、管理がきちんと行われているか、耐性害虫の発生が抑えられているかなどの確認を行っています。

環境への影響

環境への影響

Q6-4

除草剤耐性の遺伝子組換え農作物が、雑草化することはありませんか?

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A6-4

 現在ある多くの農作物は栽培用に開発されたもので、人が除草や施肥などをして保護しなければ、基本的には生育できないものが多数です。管理された農地でしか繁殖できないため、現在栽培されているトウモロコシやダイズなどの農作物が、自然環境下で野生化してしまうことはまずないと考えられています。  このような農作物に、遺伝子組換えによって、除草剤の影響を受けないという性質が加わっても、それだけで生命力や繁殖力が強くなったりするわけではないので、雑草化してしまったり、自然環境においてほかの植物より優位に繁殖する可能性は低いと考えられています。

種の保存への影響

種の保存への影響

Q6-5

除草剤耐性が雑草に移り、枯れない雑草が繁殖することはありませんか?

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A6-5

 現在、栽培されている除草剤耐性農作物とは、遺伝子組換えによって、ある「特定」の除草剤の影響だけを受けないというものです。具体的には、数多くある除草剤のうちグリホサートの影響を受けないダイズや、グルホシネートに耐性のあるトウモロコシなどがあります。「自然界での生命力が強くなる」とか「どんな除草剤をまいても枯れない」遺伝子を組み込んだものではありません。  遺伝子組換え農作物とその近縁種である雑草が交雑して、除草剤耐性の遺伝子が雑草に移ってしまったとしても、その雑草の自然の環境における生命力や繁殖力が強くなったりするわけではありません。  また、ほかの除草剤をまけば枯れてしまいますので、どんな除草剤でも効かない雑草ができてしまうことはないと考えられています。

種の保存への影響

種の保存への影響

Q6-6

カルタヘナ議定書とはどのようなものですか?

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A6-6

「バイオセーフティに関するカルタヘナ議定書」は、生物多様性条約に基づき2000年1月に採択された、遺伝子組換え植物や生物「LMO(Living Modified Organism 生きている改変された生物)」を環境へ放出することによって、生物多様性へ悪影響を及ぼすことがないように、輸出入時の手続きなどに国際的な枠組みを定めたものです。  輸出国はLMOの輸出に先立って、事前にその情報を輸入国に通達することが義務づけられます。輸入国は栽培用種子など環境へ放出されるLMOについて、環境へ悪影響がないか事前にリスク評価し、確認を行ってから輸入すること、リスク管理する制度を確立することなどが求められます。  議定書は、50カ国が締結した日から90日後に発効されることになっています。批准国は 2002年7月8日現在で22カ国、年内には50カ国に達するとみられています。  日本においては、議定書に関する国内法が整備され次第批准する方針で、2002年7月16日、関係省によって共同でカルタヘナ議定書国内担保法制定準備室が設置されました。今後、担保法案を作成し、2003年の通常国会で法制定を目指す予定です。