エンジン燃焼制御システムについて

 


エンジン燃焼制御に関わるセンサー技術は多種、広大な領域に及んでいる。当コンテンツでは、環境への配慮といった視点から、 磁気センサー関連の技術を中心に、ホンダによって開発された以下のシステムを紹介する。

・電子燃料噴射制御システムについて

・二点位相差点火制御システムについて

・排出ガス制御装置(排気温度センサー)について

 


燃料噴射量の決定メカニズム  

エンジン回転数とインテーク・マニホールド負圧からECUが基本噴射量を決定するスピード・デンシティ方式を採用している。
ECUは、この基本噴射量をベースに各センサ信号による補正を加えて状況に応じた最適な燃料噴射量を決定し、フューエル・インジェクタを駆動する。
フューエル・インジェクタは一定のストロークで作動するため、燃料噴射量はインジェクタへの通電時間の長さで決定される。

噴射時期の決定  

クランクセンサーとカム角センサー(上死点センサー)により気筒判別および各気筒への燃料噴射時期を検出し、フューエル・インジェクタにより各気筒への噴射する順次噴射方式を採用している。

クランク・センサー信号は、クランクシャフトのパルサローターに取付けられた13個の突起部に対向させて取付けられたクランク・センサーにより検出されている。

また、上死点(TDC)信号、気筒判別信号はカムシャフトのパルサローターに取付けられた5つの突起部と、突起部に対向させて取付けられたカム角センサー(上死点センサー)により検出されている。

各センサーは、回転する突起部に合わせてパルス信号をECUに送っている。

ECUは2つのセンサーの情報から、点火時期、燃料噴射時期、噴射量を算出している。

【クランクセンサーとカム角センサーの両方から情報を得る必要性】

@4サイクルエンジンではクランクが2回廻る間にカムは1回廻る。クランク角からの情報だけではたとえばピストンが上昇しているときに、それがどの気筒の圧縮工程なのか排気工程なのかがわからないので、カム軸のカム角センサーでそれを判別する必要がある。これを気筒判別という。

A一方でクランク角のほうが分解能は2倍高く、また、カム角センサーの出力はタイミングベルトの影響を受けるため、時期を制御するのはクランク角センサーの方がより高精度である。

このため、2つのセンサーから情報を得て、点火時期、燃料噴射時期、噴射量を算出しているのである。

 


二点位相差点火制御システム  

 圧縮上死点に対してそれぞれのプラグを早く(進角)点火するか、遅く(遅角)点火するかをECUにより制御している。
それにより、エンジン回転数とインテークマニホールド負圧(エンジン負荷)に応じた燃焼速度を実現している。

アイドリング:2点同時点火し燃焼速度を早めることにより燃焼の向上を図っている。

低回転・低負荷時:燃焼室内温度の比較的低いフロント側を進角させて燃焼を促進し、燃料消費率の向上を図っている。

低回転・高負荷時:フロント側を進角、リヤ側を遅角させてトルクの向上を図っている。

高回転時:2点同時点火とし燃焼速度を早めることにより出力の向上を図っている。

点火時期の制御には、このほか、ノックセンサーも利用される。


排出ガス制御装置(排気温度センサー)  

触媒コンバータ出口の排気温度をセンサーによって検知し、万一異常高温になった場合、警告灯が点灯して異常を知らせる。

排気温度センサーはサーミスタ式を使用しており、触媒コンバータ出口の排出ガス温度が設定温度以上になると、排気温度センサーのサーミスタ抵抗値が低下して、警告灯を点灯させる。


使用しているセンサ素子について  

カム角センサー(TDCセンサー)

GMR素子を使用したもの。(GMR素子とはMR素子に対し磁性膜と非磁性膜を積層することによって磁気抵抗効果をより高めたものである。)

各気筒毎の上死点位置をTDCセンサーで検出し、燃料噴射時期、噴射量および点火時期をコントロールする。

TDC信号は、カムシャフトのパルサローターに取付けられた5つの突起部と、突起部に対向させて取付けられたカム角センサー(上死点センサー)により検出されている。

クランクセンサー

MR素子(本編コンテンツ参照)を使用したもの。

クランクセンサー信号は、クランクシャフトのパルサーローターに取付けられた13個の突起物に対向させて取付けられたクランクセンサーにより検出されている。

ノックセンサー

シリンダブロックのバンク内側に前後各々1個ずつ取付けられている。

ピエゾ効果(圧電効果)を利用した圧電タイプのセンサーを採用し、エンジンの振動を電圧に変換してECUに送る。

サーミスタ

モノリス型で熱容量が小さく、また、活性効率のよい白金・ロジウムを使用しているため低温活性にすぐれている。

本編コンテンツ参照。